11月15日、三重県津で講演会。会社からもらった14時の新幹線チケットを買い替え、12時ちょっと過ぎの「のぞみ」で名古屋に向かった。 お昼のグリーン車でゆっくりお弁当を楽しみながらの出張は、まさに極楽である。東北新幹線などJR東日本のお弁当はコメの分量が多くて満腹しすぎるキライがあるが、JR東海には、コメを控えめにしてそのぶん多彩なお惣菜を満載した、いかにも豊穣な感じのお弁当がある。夜の移動ならこれをツマミに1時間半、酒をダラダラ飲みながらの新幹線が今井君は大好きである。 残念ながら写真を撮るのを忘れてしまったが、ぜひJR東日本の方にもお弁当の作り方を勉強してほしい。コメをお腹に鱈腹つめこんで満足する男子中学生ばかりが乗客なのではない。クマ蔵みたいな数百歳のオジサマは、お酒の友になる惣菜満載のお弁当がいい。 ただ、この日は夕方から講演会が待っているから、もちろんお酒は御法度。旨いお惣菜弁当1300円も、大事な相棒がいなくては本領が発揮できないが、やむを得なければ、やむを得ない。だって諸君、出張の目的は講演の成功であって、クマ蔵の思いがお弁当優先になっては本末転倒である。(マリオット45階からの風景。左手に小さく名古屋城が見える) 名古屋到着14時。すぐにマリオットホテルにチェックインする。4525号室。45階からの眺望は素晴らしい。特に今日の部屋は、眼下に名古屋城の望める最高のロケーションである。 代ゼミ時代には毎週1回×6年宿泊していたホテルだから、今井君にとってはすっかり慣れ親しんだ「第2の我が家」みたいなホテルである。「あれれ、代ゼミには8年在籍したはずじゃないの?」であるが、最初の2年はマリオットがまだなくて、97年は「名鉄ニューグランド」、98年は「名鉄グランドホテル」に宿泊していたのでござるよ。 16時の近鉄特急で津に向かう。11月も下旬が近づけば、日の暮れるのが驚くほど早くて、16時過ぎの車窓はすでに侘しさでいっぱいである。進行方向右側は寒々とした鈴鹿山脈。山から伊勢湾に吹き下ろす寒風に、四日市の煙突群からの煙が東に向かって真横にたなびいていたりする。 津に到着、17時。講演会場は津の隣の「津新町」だから、ここで各駅停車に乗り換えて1駅である。特急を降りた途端に近くで大歓声が上がって、「何だ何だ、誰かタレントでも来てんのか?」とあたりを見回すと、大歓声の原因は、他でもないクマ蔵自身なのであった。(近鉄特急。いつ見ても「どうしてこの色にしたかね?」である) 「サインしてください」「写真、撮ってもいいですか」「握手してください」の類いの大騒ぎは、今井君の正体を全く知らない周囲の大人にはたいへん奇異にうつる。 だって、騒動の真ん中に立っているのは、タダの中年のクマに過ぎないじゃないか。ごくごく地味なスーツに、ごくごく地味なネクタイを結んだだけ。まあ特徴といえば、丸刈り頭と濃いおヒゲだけじゃないか。なのに何で若者たちがあんなに騒いでるんだ? まあ、人々の怪訝そうな顔のほうが正しいのである。 今井君は講演会でサイン会をしないから「どうしてもサインや写真がほしい」という生徒たちは最近「デマチ」をするようになった。この間の津田沼でもデマチがいたし、今日の津でもそうである。これから寒くなるからデマチなんかしなくてもいいが、デマチまでしてサインを求めるなら、その熱意を拒絶するクマ蔵ではない。(津) 他の先生が皆やっているサイン会を、あえて今井君がしないのは理由があって、別に意地悪してるとか、ケチだとか、メンドクサイとか、そんなことではな続きをみる
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