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Channel: 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba
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Tue 111108 ロバさんたちと衰退の気配 いよいよ夕陽ショーが始まる(ギリシャ紀行26)

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 9月1日午後、こうしてクライマックスは近づいた。サントリーニ2日間のクライマックスであり、14日間のギリシャ滞在のクライマックスであり、今年の海外旅行合計45日間のクライマックスである。サントリーニの夕陽については、そのぐらいの緊張感をもって臨まなければならない。 その割には、その3時間前に胃に流し込んだスパゲッティ・ナポリタンが(昨日の記事参照)、余りに昭和レトロすぎて間延びした印象を残したが、まあそれは仕方ないだろう。 実はこの翌日にも、サントリーニ最大の街フィラの海辺で、さらに激しい昭和レトロ・ナポリタンをテーブルに出されて一驚を喫する。さらに翌々日のアテネでも、ナポリタンで昭和の昔に引きずり込まれる。どうもギリシャのパスタで油断すると、そこに昭和50年代の早稲田・大隈通りのマボロシが出現するらしい。(ヒトもロバも焦げそうな、灼熱のイア) 気を取り直して、16時すぎ、昨夜目をつけておいた「秘密のタベルナ」に向かう。夕陽スポットの展望台から直線距離で100mもない。テーブルからは展望台が正面に見えるし、展望台からもタベルナのテーブルが手に取るように見える。このタベルナこそ、サントリーニの夕陽を満喫するのに、間違いなく最高の場所である。(働くロバさん 1) 途中、ロバさんたちが険しい坂道を昇り降りしている現場に遭遇する。断崖のふもとの漁港から、土産物屋の商品や生活必需品を運ぶのに、たくさんのロバさんたちが一役買っている。もちろん大きく遠回りすればクルマの走れる道はあるが、この険しさではロバさんたちの協力も無視できない。 島の南側、最大の街フィラでは、ロバさんたちの役割は観光に限定されている。沖に停泊する巨大クルーズ船からハシケに乗って島を訪れる観光客を、ロバの背中に乗せて断崖の上の商店街に運んであげるのだ。 フィラのことは明後日あたりの記事に詳述するとして、イアのロバさんたちの役目は、観光客を運ぶより、あくまで荷役が中心である。ディズニーリゾート的雰囲気を守るために、街中へのクルマの乗り入れを禁じている関係上、荷物やゴミの運搬はロバの助けを借りるしかない。大胆かつ細心な開発業者が、綿密な計画の下に開発→管理するこの島は、ロバさんたちの協力が不可欠なのだ。(働くロバさん 2) この炎暑の中、ロバ飼いジーサンの厳しい叱責に耐えながら、重い荷物やゴミ袋を背中に担って、この断崖を何度でも昇り降りする。そのロバさんたちのトボケた笑顔がたまらない。ネコたちは怠惰にヒトに甘え、イヌたちは全てをあきらめて日なたに寝そべっていればそれで済まされるが、哀れ、ロバさんたちは「そうは問屋が卸さない」なのだ。 しかし鋭いクマ蔵の目は、早くもこの島を訪れた「衰退の気配」を見逃さない。今を時めくサントリーニの隆盛の中、ちょっと脇へ目をやれば、かつての貧しい寒村の名残もまだ残る。だが、夏の盛りの穏やかな風にユラユラ揺れるイネ科の雑草に、早くも近づいた衰退の兆しが見え隠れしている。(ますます炎暑がつのるイアの街) 9月1日、灼熱の夏にもさすがにそろそろ翳りが見え始めたこの日、街はずれには見捨てられた飲食店の廃墟が散見される。言わば、夢のようなサントリーニ・イアの街には、かつての寒村の名残と、今を時めく隆盛と、早くも訪れた衰退と、3つのベクトルが共存しているのである。(ロバさんたちが果てしなく昇り降りする断崖の道) まあ、メンドクサイ感慨はその辺に放置して、とりあえずクマどんは夕陽スポット「秘密のタベルナ」に移動することにする。16時半、時間は明らかに早すぎるが、誰にも邪魔されずに海が見えるテーブルは、5つ程度しかない。そのうちの1つを確実に獲得するには、いくら早くても早すぎることはない。 目指すテーブルは、午後の殺人的な直射日光を、思い切り正面から浴びている。「そんなSunnyなテーブルでいいのか?」「ホントにSunnyだぞ、大丈夫か?」と従業員に心配されながら、もう意地でもこのテーブルを離さない。テーブルから見える展望台にもすでに観光客が現れ、向こうは向こうで、もう場所取りが始まっているのだ。(殺人的にSunnyなテーブルと、その向こうに見える展望台) 目もくらむ強烈な直射日光の中で注文したのは、よくワケのわからない前菜と、Stuffed Olive。それにMythos1本とサントリーニ特産の白ワイン。旨そうなワインは他にもあったけれども、ここは何が何でも「サントリーニ特産」を注文して、従業員のご機嫌を取り結んでおくほうが良策だ。 その効果続きをみる

『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』


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